【運送業界ニュース】大雪タイヤチェーン義務化に困惑(福井新聞)
大雪タイヤチェーン義務化に困惑(福井新聞)
2018年11月26日 午前7時20分
気象庁が警報を出すレベルの大雪の際、立ち往生が懸念される高速道路や国道の区間で、全ての車にタイヤチェーンの装着を今冬から義務付ける方針を国土交通省が示し、福井県内のドライバーから「スタッドレスタイヤで十分では」「大雪となる2、3日のためにチェーンを買うのか」といった戸惑いの声が上がっている。国交省福井河川国道事務所は「冬用タイヤだけではスタックして大規模な立ち往生につながる」と必要性を強調、カー用品店はチェーンの品ぞろえを急いでいる。
今年2月の記録的な大雪により、福井・石川県境の国道8号で最大約1500台が立ち往生した。国交省は国道8号冬期道路交通確保対策会議で、装着不明を含めチェーン未装着の大型車9台のスタックが大規模な立ち往生の原因と報告。15日、立ち往生が懸念される高速道路や国道の区間で、スタッドレスなどの冬用タイヤ使用車を含めた全ての車にチェーン装着を求める方針を公表した。
2月の大規模立ち往生を踏まえ、福井河川国道事務所は、他事務所からの除雪機械増強のほか、監視カメラやチェーン着脱場がある車両待避スペースの新設といった対策を進めている。
今回のチェーン装着の義務化に関し、どの程度の降雪で、どの区間を対象にするかは警察庁と今後協議し決める。県内の国道8号や並行する北陸自動車道の一部などの指定が見込まれ、平井義博副所長は「冬用タイヤだけではスタックが起きる。大規模な立ち往生を防ぐためには、チェーン装着が必要」と理解を求める。
チェーンの効果について日本自動車連盟(JAF)福井支部は「アイスバーンでの走行に有効。路面状況によって異なるが、装着した方が確実に立ち往生のリスクは減る」と説明。時速40キロでの制動距離テストでは、スタッドレスタイヤよりもノーマルタイヤにチェーンを装着した方が制動距離が約20メートル短いとの結果も出ている。
ただ県内では、冬用タイヤに付け替え、チェーンを装着しないのが一般的だ。40代のアルバイト女性は「チェーンを持っていないし取り付けたこともない。スタッドレスタイヤだけでいいのでは」と困惑した様子。福井市の60代男性も「チェーン装着の義務化は大型車だけでいいのではないか。トラックが雪道対策をして(道路管理者が)除雪体制をちゃんとすればいい話」と不満を示した。
県内のトラック、バス事業者は「雪道でのアクシデントを未然に防ぐ対策としては歓迎」との立場。一方、県トラック協会の中山武専務理事は「そんなに厳しくして本当に守られるのか」と疑問を呈する。冬場のチェーン携行は県内の事業者には普及しているが、雪が降らない地域の運転手の意識は低く、「全国のドライバーに対してしっかり広報しないといけない」と指摘する。
国交省の方針を受け県内のカー用品店では、チェーンの在庫確保など対応を急いでいる。福井市のオートバックス福井北店では、方針が公表された15日から問い合わせが相次ぎ、実際に購入する客も数人いた。担当者は「例年よりも出足が早い」と話し、タイヤサイズによっては入荷未定のものもあるため「早めに買い求めた方が安心」とアドバイスしている。
出典: https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/746788