【運送業界ニュース】トラック業界 女性に期待…人材難解消へ
トラック業界 女性に期待…人材難解消へ
(Yomiuri Online 2018年11月25日)
県トラック協会(岐阜市)は、女性にトラック運送業界への関心を持ってもらう取り組みに力を入れている。今月中旬には、初めて女性向けの乗車体験会を開催。将来にわたる深刻な人手不足が懸念される業界に、大勢の女性トラックドライバー「トラガール」の誕生が期待されている。
女性ドライバーが運転する大型トラックが、次々に女性を助手席に乗せて教習所内のコースを周回する。18日、同協会が主催し、岐阜市の三田洞自動車学校で開かれた女性向けのトラック乗車体験会。県内外から参加した約25人が、順番に25トン車に試乗した。気軽に参加してもらおうと、メイクレッスンやエステ、人生相談などの無料体験コーナーも設けた。
参加者の一人、愛知県清須市の会社員木村彩さん(25)は、普段はフォークリフトを操縦し、荷物をトラックに積み込む仕事をしていることなどから、トラック運転に興味を持ったという。「ドライバーを格好いいと思っていたが、乗るのは初めて。大型免許を取りたいと思った」と意欲的に話した。岐阜市の専門学校生、横山紗希さん(19)は「思ったよりも、車の席が広くて快適でした。職業の選択肢として『あり』だと思います」と笑顔を見せた。
トラックの運転手を務めた「山栄物資運輸」(岐阜市)の松原由恵さん(44)は、20歳代で業界に入り、結婚・出産などを経て、ドライバーの仕事を再開したという。松原さんは「昔に比べると女性も増えている。距離などに応じた自由な働き方もある」と強調。その上で、「憧れだけで続けていくのは難しい面もある。女性には、仕事への理解を深めた上で、覚悟を持って業界に来てほしい」と訴えた。
総務省などによると、2014年時点の全国のトラック運転手は約83万人で、このうち女性は約2万人と2・4%にとどまる。一方、大型免許を保有する女性は13万4000人以上に上る。潜在的な労働力はあるものの、これまで女性であることを理由に就職を断られたり、配送先などに女性トイレが整備されていなかったりするケースがあったといい、業界全体で女性が働きやすい環境の整備とイメージアップを図ることが課題となっている。
こうした状況を受け、国土交通省も14年9月、ホームページ内に「トラガール」サイトを開設し、業界に女性を呼び込む様々な取り組みを促進している。
県トラック協会適正化事業部長の木村治史さん(58)は「乗車体験イベントは初めての試みだったが、参加者からも好評で喜ばしい。この業界に触れて知ってもらう機会を通じ、女性を労働力として確保していきたい」と話している。(茶山瞭)
元記事:https://www.yomiuri.co.jp/local/gifu/news/20181126-OYTNT50175.html