【物流業界ニュース:運転手の働きやすさ「☆」で評価 運送・バスに認証制】

【物流業界ニュース:運転手の働きやすさ「☆」で評価 運送・バスに認証制】
2019/8/25 22:16日本経済新聞 電子版
トラックなどの運転手不足が常態化するなか、国土交通省は運送会社やバス会社の働きやすさを評価する制度を2019年度中に創設する。労働時間の長さや休暇制度の充実ぶりなどを採点し、「三つ星」まで3段階で認証する。労働環境の改善につなげるとともに、認証取得をハローワークなどでアピールして人材確保を後押しする。

認証制度の対象となるのはトラックやバス、タクシーを運行する企業。法が定める規定以上に有給休暇が取得できるかどうかや、傷病時の所得補償制度、ハラスメント相談窓口など約90項目を採点し、点数に応じ星3つで評価する。

幅広い人材の受け入れ体制についても判断する。例えば女性専用の仮眠施設の設置や、育児中の早朝・夜間勤務の免除などは加点対象だ。一方で健康診断記録の保存といった必須項目を満たしていなければ、高得点でも星は取得できない。

認証の申し込みは20年春ごろから受け付け、同年度中に結果を伝え始める予定だ。取得した企業については、業界団体やハローワークがPRしたり、各社が求人票に記載したりできるようにする。国や自治体が補助金を使う企業を募る際、優先して選ぶことも検討する。

制度の運営は国交省が公募し、非営利法人が担う。運送関連の法律に詳しく、ほかの認証制度の運営実績がある法人が対象で、8月にも選定する。運営法人は同省職員や有識者らで構成する委員会を立ち上げて審査する。

トラックやバスなど自動車運転手の19年6月時点の有効求人倍率は2.96倍と、全職業平均の2倍以上で人手不足は深刻だ。一方で運転手の18年の1カ月間の総実労働時間は大型トラックが215時間、バスが210時間、タクシーが194時間といずれも全産業平均を上回っている。

トラックやバスを巡っては、業界団体がそれぞれに安全輸送の認証制度を設けている。ただ従業員の労働環境を周知するための制度はこれまでなかった。同省自動車局の担当者は「優良な企業が認証を活用し、人材を確保できるようにしたい」と話す。

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